全国木材検査・研究協会







(1)製材の日本農林規格
木材は、木造建築の重要な資材です。建築に用いる木材については、寸法、含水率、強度性能等の品質が明確で安定した規格木材の供給が重要な課題になっています。

また、木材利用の推進は、地球温暖化防止対策に向けた取り組みとしても重要な課題として位置付けられています。特に製材は製造に要するエネルギー消費量が少なく、環境に与える負荷が小さい優れた建築材料です。

我が国では木造建築物等に使用される構造用、造作用、下地用等の製材の規格が制定され、施工の合理化並びに木造住宅及び木造建築物の振興への寄与を目的として、「製材の日本農林規格」及び「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格」が制定されています。
「製材の日本農林規格」、「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格」の内容については、[関連法規一覧]をご覧ください。
(2)日本農林規格の区分
「製材の日本農林規格」(令和7年1月31⽇農林水産省告示第195号)は、主に木造軸組工法に用いる一般製材を用途別に構造用製材、造作用製材、下地用製材及び広葉樹製材に分けて規格を規定しています。

「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格」(昭和49年7月8日農林省告示第600号)は、枠組壁工法に用いる製材の規格を規定しており、用途は構造用のみとなっています。
表1 日本農林規格の区分
○板類、角類及び円柱類

製材の日本農林規格では、製材を次のように定義して区分しています。

表2 板類、角類及び円柱類の定義
(3)日本農林規格の基準
製材及び枠組壁工法構造用製材の日本農林規格は、上記(2)の品目別に、品質と表示の基準を規定しています。

品質基準は、材面の品質(節、丸み、貫通割れ、目まわり、繊維走行、腐朽、曲がり等)、インサイジング、保存処理、含水率、曲げ性能及び寸法を規定しています。

表示基準は、表示事項、表示の方法及び表示禁止事項を規定しています。
(4)乾燥処理について

乾燥処理は、木材に含まれる水分量を減少させる処理で、処理方法には、人工乾燥処理と天然乾燥処理があります。

製材の日本農林規格において、人工乾燥処理とは「人工乾燥処理装置によって人為的及び強制的に温湿度等の管理を行うこと」、天然乾燥処理とは「人為的及び強制的に温湿度を調整することなく適切な管理の下、一定期間桟積み等を行うこと」と定義されています。

 枠組壁工法構造用製材の日本農林規格においては、乾燥処理方法についての規定はありませんが、実態上、人工乾燥処理のみとなっています。

■含水率の基準

人工乾燥処理製材の含水率の基準は、品目毎に表3のとおり温湿度環境に対応した平衡含水率(およそ10~20%)を目安に定められています。

表3 人工乾燥処理製材の含水率基準と表示記号

また、天然乾燥処理製材の含水率の基準は、表4のように、乾燥していない生材が収縮しはじめる30%以下と定められています。
表4 天然乾燥処理製材の含水率基準と表示記号
■乾燥処理材の表示

製材の日本農林規格においては、人工乾燥処理材は未仕上げ材と仕上げ材に区分されます。

未仕上げ材は、工場出荷後の再加工を想定した寸法仕上げをしてない製材で、「D20」等の表示記号により表示します。

仕上げ材は、人工乾燥後、修正挽き又は材面調整を行い、寸法仕上げした製材に「SD15」等と表示記号により表示します。

天然乾燥処理材は、「乾燥処理(天然)」と表示します。

枠組壁工法構造用製材の日本農林規格においては、仕上げ材を対象として「D」又は「D15」と表示します。

(5)強度性能について
製材の等級区分

製材の日本農林規格では「構造用製材」の強度等級区分法として、「目視による等級区分法」と「機械による等級区分法」の二つの方法があります。

目視による等級区分法

目視による等級区分法は、材面の品質に応じて等級区分を行う方法で、木材の強度に影響を及ぼす節、繊維傾斜、割れ等を目視又は材面測定機器によって評価します。目視等級区分構造用製材は、この方法で等級区分し、表5のように星の数で等級を表示します。

構造用製材のうち、主として高い曲げ性能を必要とする部分(梁、桁等)に使用する「甲種構造材」と、主として圧縮性能を必要とする部分(柱、束等)に使用する「乙種構造材」に分けて、それぞれ許容できる欠点の基準値が定められています。

表5 目視等級区分構造用製材の等級表示
機械による等級区分法
機械による等級区分法は、曲げ試験機等を用いて行う非破壊測定により得られた曲げヤング係数に基づいて強度の等級区分を行う方法です。

曲げヤング係数と木材の強さには、統計的に高い相関関係があるため、目視による等級区分法に比べ、高い精度で木材を強さ別に区分できます。

機械等級区分構造用製材では、曲げヤング係数が表6に示す平均値と下側基準値(最小値)によって表される各等級の基準値以上であることが必要です。機械等級区分構造用製材は、この方法で等級区分し、表6の表示等級欄に掲げたE70,E90等で等級を表示します。

機械等級区分構造用製材のJAS認証を取得するときは、全国木材検査・研究協会が認証した機械等級区分装置の使用が必要です。
表6 機械等級区分構造⽤製材の等級
枠組壁工法構造用製材の等級区分
枠組壁工法構造用製材の日本農林規格では、強度等級区分法として製材の日本農林規格と同様に目視による等級区分法と機械による等級区分があります。
目視による等級区分法
目視によるものには甲種枠組材と乙種枠組材があり、前者は主として高い曲げ性能を必要とする部分に使用するもの、後者はそれ以外のものをいいます。いずれも木材の強度に影響を及ぼす節や割れ、丸身等を評価しますが、製材の日本農林規格の基準とは異なる基準を用います。

等級は、甲種枠組材は特級、1級、2級及び3級、乙種枠組材はCONST、STAND及びUTILの文字で表示します。
機械による等級区分法
機械によるものにはMSR枠組材があり、等級区分機によって曲げヤング係数を測定するとともに曲げヤング係数に対応した曲げ強さ又は引張り強さを定期的に確認して評価します。

等級は、E等級(曲げヤング係数)及びFb 等級(曲げ応力度)を組み合わせて、900Fb-1.3Eなどのように表示します。

目視等級区分構造用製材、機械等級区分構造用製材及び枠組壁工法構造用製材の基準強度については、「建築とJAS製材の木材の基準強度について」及び[関連法規一覧]をご覧ください。
(6)保存処理について
保存処理の性能区分
製材の日本農林規格で規定している保存処理は、防腐・防蟻処理及び防虫処理を対象としています。

保存処理の性能は、表7のようにK1からK5までの五つに区分され、性能別に使用薬剤とその処理基準(薬剤の浸潤度及び有効成分の吸収量)が規定されています。
表7 性能区分
浸潤度は薬剤がどの程度木材の内部まで浸潤しているかを示すもので、保存処理の性能区分及び樹種別の心材の耐久性区分に応じて表8のように規定されています。主なD₁樹種には、ヒノキ、スギ、カラマツ、ベイマツ(ダグラスファー)、ベイスギ(ウェスタンレッドシーダー)等があります。

表8 性能区分別の浸潤度基準(抜粋)


表9 薬剤及び記号並びに性能区分別吸収量基準


保存処理の表示
性能区分の表示は、「保存処理」又は「保存」の文字と性能区分記号により行います。例えば「保存処理 K3」、「保存 K3」のように表示します。

使用している薬剤名の表示は薬剤名または薬剤の記号によって行い、例えば「ナフテン酸銅乳剤」または「NCU-E」のように表示します。

インサイジング機の認証
インサイジング処理をした保存処理材のJAS認証を取得する場合には、全国木材検査・研究協会が認証したインサイジング機(薬剤の浸透性を高めるために用いる木材の表面を刺傷する機械)を使用することが必要です。

インサイジングは欠点とはみなされませんが、製材の曲げ強さ及び曲げヤング係数の低下が1割を超えない範囲であることが必要です。

(7)JAS製品の表示について
JAS製品として格付したことを示す表示の方法が、「JAS規格」と「格付の表示の様式及び表示の方法」の二つの告示で定められています。

JAS規格では、表示事項(樹種名、等級、寸法、製造業者名等)及びそれぞれの表示の方法を定め、表示箇所として、原則、各本の見やすい箇所に明瞭に表示しなければならないと規定しています。

格付の表示の様式及び表示の方法では、いわゆるJASマーク(格付の表示。JASの文字とそれを囲む円及び登録審査機関名等の部分)の様式(円の大きさ、文字の太さ等)を定めています。

2026年5月から規定が改正され、JASマークについては、①シールのような枚数管理が可能なもの、または②インクジェット方式の印字機等の工場の建屋や床に固定され容易に移動できない装置によるものを、表示事項と同一面に付すこととなり、JASマークの部分をスタンプによって表示することができなくなりました。

品目別に表示例を示すと以下のとおりです。

構造用製材 人工乾燥処理構造用製材
天然乾燥処理構造用製材 保存処理構造用製材
機械等級区分構造用製材 造作用製材
人工乾燥処理造作用製材 下地用製材
人工乾燥処理下地用製材 人工乾燥枠組壁工法構造用
製材(甲種)
人工乾燥枠組壁工法構造用
製材(乙種)
保存処理枠組壁工法構造用製材
(甲種)
「製材の格付の表示の様式及び表示の方法」、 「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の格付の表示の様式及び表示の方法」は[関連法規一覧]をご覧ください。